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幸せ・・・横顔にそう現れて涙が出そうになるのをグッと堪える。
真っ白なウエディングドレス。
スレンダーな体に良く似合っている。
横顔から後姿へと変わる。
一歩一歩遠ざかる。
二度と彼女は手に入らない。
昔の映画みたいに彼女を連れ去って行きたい。
ああ、でも彼女はそんな事望んでいないだろうな。
この日を誰よりも待ち望んでいたんだから。
気を抜くと涙が零れ落ちそうになり、グッと奥歯を噛みしめる。
誓いの言葉
誓いのキス
目も耳も塞いでしまいたい。
何も見たくない。
何も聞きたくない。
ずっと一緒に居ると思っていた。
ずっと二人で居られると思っていた。
それなのに彼女が選んだのは・・・・
式の間中、新郎を睨みつける。
こんな事したって無駄な事は分かってるが、気持ちのやり場がない。
みんなの囁く『綺麗だね』の言葉に当たり前だと言いたくなる。
彼女は誰よりも美しい。
それなのに、あんなつまらない男に捕まって。
どう見たって不釣り合いだ。美女と野獣だ。
思いとどまって。
これからも二人で楽しくやっていこうよ。
彼女から結婚の話を切り出された日、この世の終わりを迎えた気分だった。
教会の鐘が鳴る。
彼女にとっては門での鐘だろうが・・・
死期を知らせる鐘の音のように聞こえる。
「瑞希ぃ、晴子が結婚するから寂しいんでしょ。
あ、そっかこのあと友人スピーチやるから緊張してるんだ」
隣の愛奈が小声で私をからかう。
そんなんじゃない!
「あんな奴!晴子が幸せになるはずない!私の方が幸せに出来るのに!」
「でたよ、瑞希の晴子好き。いい加減諦めな」
鐘の音が鳴る。
彼女への思いを葬り去るレクイエムのように・・・
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