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「なんの用だ?」
あえて聞いた。
「すっごい気に入っちゃったよ、きみのこと」
にこにこして言われる。
だけどそこに、最初の頃会ったような遊びは感じられない。
頭をかく。
「まいったな。思ったよりしつこいんだな、あんた」
「欲しいものは絶対に手に入れる主義なんだよねー」
一歩、また一歩と近付いてくる。
誰もいない左右を塀に挟まれた路地で、光るものは等間隔に配置された外灯だけだった。
それが女の姿を照らし出しては、消していく。
「ひとつだけ、聞きたいんだが?」
「なに?」
間合いは、三歩。
あと一歩で、こちらの間合いになる。
だがその前に、
「――今まで俺以外の奴にも、あんな風にしてきたのか?」
「え? どゆこと?」
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