影法師

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「ここだよ ここ」 三階建てのマンションだった、通りに面していて 裏側に住民用の駐車場がある 三浦康彦の住んでいる部屋は2階の角だ、一階は レンタルビデオ店だった 「ワンルームマンションか・・一人暮らしね 好都合だわ」 みちるがつぶやく 「好都合って?」 愛美が聞く 「ドア開けた瞬間に一発お見舞いしてそのままボコるのよ  先手必勝よ 家の人がいたら作戦も必要じゃないの  一人暮らしでよかったわ」 「ちょ、ちょっと本気なの?」 やはり本気のみちるに焦る愛美 「当たり前でしょ 愛美にそんな真似してタダで済ますわけに  いかないわ」 「で、でも・・」 「大丈夫だって 元柔道部ならまだしも、元サッカー部でしょ  楽勝よ あたしの腕を信じなさい しかもトンファーもあるわ  バット振り回したって勝てるわ」 「そうじゃなくて!怪我させたらまずいでしょ」 「大丈夫よ何ていうの 後輩の女子高生を仲間とレイプしよう  として失敗したらその友達の女子高生にボコられましたーって  警察にかけこむわけ? 恥ずかしくて誰にも言えないわよ」 笑って言う みちる 「仲間がいたらどうすんのよ」 「だから玄関なのよ 狭くて一人ずつしか前に出れないでしょ、  父さんにならったのよ、やばけりゃ悲鳴あげながら逃げれば  いいのよ 女の武器の一つよ、通りに面してるし、下はレンタル  ビデオよバッチリの条件だわ」 「聞いたけど ワルでもないハンチク野郎よ 仕返しする気にも  なれないほどぶちのめすから見てなさい」 「みちる・・こわい・・それにすごいお父さんね 前にあった時  優しそうだったけど」 笑うみちる 「さぁ 行くわよ」 止められそうにもない、後ろをついて階段を上がった ドアの前、かばんから何やら〈ト〉の字の形の木製の 棍棒のような物を持つと、かばんを愛美に渡した 「愛美はそこにいて」 階段のところに愛美を立たせてドアの前に立ち、呼び鈴を 鳴らす ピンポーン、ピンポーン、ピンポーン 何度か鳴らしたが反応はない ドアポストの隙間から、みちるが声をかける 「やすひこく~ん あたしよ、あ・た・し!」 反応はない 愛美のところまで戻ってきた 「いないようね がっかり・・」 内心ホッとするが、ただ留守なのか昨日のまま 姿を消してしまったのかわからず その意味で不安になる image=496685084.jpg
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