影法師

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白線は橋を支えるコンクリートの土台と地面をまたいで書かれていた 「発見したのはホームレスだ 少し離れたとこに小屋を立てていて  朝の散歩で川沿いを歩いていて発見したようだ 三日前にも  同じコースを歩いたがその時にはなかったと思うと言ってたらしい  もっとも 川沿いを歩くなら視線は川に向くだろうから  気付かなかっただけかもしれんがな    足を伸ばして橋桁にもたれるようにあったんだが  足の下の地面の草が押されて折れていた ずっとここにあった  んじゃないってことだ 第一こんな湿気の多い場所でミイラ化  するわけないしこんなとこならすぐに発見されるだろう  ミイラ化したした死体を発見されるようにわざわざここに運んで  きたか 一晩でミイラ化したかだな・・・どちらにしても納得できん  座って固まっているミイラを壊さないように慎重にこんな所に  運ぶ必要性なんてないだろ 発見されるのが目的ならそこらの  空き地でもいいんだし」 「木箱は?」 「ああ、あれか・・ミイラから1mほど離れた足元に落ちていた  何か文字が書いてあったが相当古いもので、読み取りできなかった」 周りを見渡す神山に言う 「周辺はそれこそ草の根かき分けたが何もなかったよ」 「木箱も科捜研か?」 「ああ そうだ 写真が残ってたのはプリントした写真を  ミイラに関する本を調べていてたまたま俺が栞がわりに本に  はさんだからだ データはデジカメごと持って行かれたよ」 「死後四年から五年てのは間違いないのか?」 「あくまで外観のミイラ化の具合からだ 解剖は科捜研の  仕事だからな 気になるのはミイラの割に重かったという点だな」 「重かった?」 「ああ もしかしたら半生だったのかもしれん 外側がミイラで  中身が生なんてそれこそ説明がつかんが・・・・」 「松元が言っていた・・こっちも説明の付かない死体の山がある  俺達の知識じゃ理解できないこともあるんだよ・・てな」 「あんた・・・なにか知ってるんじゃないのか?」 本当はそれが聞きたくてここに案内したんだと気づいた 「ミイラ化の原因はさっぱりわからないが・・・」 「じゃあ 何を知っているんだ?」 「知らないほうがいいこともある」 「もったいぶるなよ 口は堅いほうだ 教えてくれよ」
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