影法師

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もうすっかり日も落ちた川辺、橋の上を走る車の ライトが川面に反射する 車にもたれて話しを聞いていた三宅がつぶやく 「鬼・・妖怪ねぇ・・・宇宙人より非科学的な話しだな・・」 事件の内容や自分のしたことは話さずに説明の付かない 死体の有様と自分が見たものについてだけ話しをした 「信じられるかどうかは別として ナニかがやったことなら  あんたの言うとおり まだ得体のしれない事件が起きるのかもな」 「あ・・」 空を見上げていた松元が何かを思い出したように言う 「そういえばな この町の外れに《鬼姫沼》っていう池があってな  そのほとりに《龍泉寺》っていう寺があるんだが そこに  鬼のミイラってのが祀られてんだ おおかた昔の剥製職人が  作ったものだと思うが・・・年に一度だけ見られるんだが  確か来月くらいだと思ったが」 「鬼姫沼?」 「ああ 鬼姫沼伝説ってやつがあるんだ どんな話しだったかな・・」 「確か、寺の境内にその話しを書いた板がある、それが関係あるとか  そんな風には思わないが、あんたの考えるナニかのヒントにはなる  かもな 見に行ったらどうだい 小さな寺で鬼のミイラなんて  作り物だと町の人間は思ってるし車停めて結構歩かなきゃいけない  こともあって普段来るのは他所からくるオカルトマニアくらいだろ  う まぁそれでも年に一回拝める時にはご利益があるんんじゃねえか  と参拝にいく町の人間もそこそこはいるがな・・・」 「鬼姫沼伝説か・・・行ってみるかな・・」 「う~寒くなってきたな・・悪いが家まで送ってくれるか?  ここからそう遠くはないんだ」 「ああ 悪かったなこんな時間まで・・」 「いや、面白い話しが聞けてよかったよ」 三宅はそう言って助手席にに乗り込んだ
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