影法師

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「すっかり遅くなっちゃったね」 教室を出て廊下を歩く愛美とみちる 「明日は学祭!愛美の可愛いメイド服姿にうちの模擬店は  超満員まちがいないわ、カメラ小僧だらけよきっと」 「やめてよ」 からかうみちるの背中に乗ろうとする愛美 「愛美かわいいからね、おかしなこと考える奴が出てきても  おかしくはないわね そこらのアイドルなんて目じゃないもん」 「もう そんなことないってば!」 「今日は愛美といっしょにお風呂だー 楽しみだなー」 愛美を舐め回すように見る 「こわいよ みちる!」 「あはは 愛美ちゃんは私のものよ!」 ふざけあって校舎を出る二人 「遅くなっちゃったからバスで帰ろうよ お腹すいて自転車は無理!」 「うん そうしようか」 校門から出てすぐのバス停でバスを待つ二人 「お父さん?ごめん今日道場休むわ、愛美のとこに泊まるから」 家に電話をかけているみちる 目の前を行き交う車の向こうを何気なく見ていた愛美 道路の反対側に立つ人影、袈裟を着て笠を被った僧が見えた 「あ!」 「なになに!」 電話を切ったみちるが驚いて愛美を見る 「あそこ!」 道路の向こうを指差す愛美、みちるがそちらを向く 「なに?なんかあるの?」 「あれ?・・・」 もういなかった・・見間違いだったのか周りを探す・・ 「どうしたのよ」 「いま あそこにあの時のお坊さんが立ってた気がしたんだけど・・」 「えーどこにもいないわよ・・」 「確かにいたんだけど・・こっちを見てた・・」 「こりゃ重症だわ・・・」 「まぁ早く忘れなさいって・・言っても無理な話しだよね・・」 「忘れるまであたしが一緒にいるから!何なら気晴らしに  愛美も空手でもやってみる? 父さんも愛美のファンだから  大喜びよ」 「あたし・・痛いのはちょっとね・・」 「冗談よ!愛美にあたしが蹴ったり殴ったりなんてできる  わけ無いじゃん!見学してあたしの勇姿でもみにくればいいわ」 「そうね 見学なら行きたいかな」 バスが来た、目の前で止まりドアが開く まばらに座る乗客、一番後ろの席に並んで座った みちるが愛美の肩を叩く 「あんまり考えないようにね、それにそんな男ども、消えたなら  天罰よ 気にすることないわ」 「うん・・」 ブザーが鳴り 閉まるドア・・ バスは走りだした・・
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