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腰のポーチに微かな振動を感じる、ポーチを開き携帯を取り出し目をやり通話ボタンを押
し耳に当てた (何があった!) 加茂からだった
「どこ行ってんだよ!何度もかけてんだぞ!」
結城の怒鳴り声に隊員たちが顔を向けた、それに気づき思わず大声を出したことに気がつく 軽く手を上げて隊員たちにちらりと視線を向けると隊員たちは再び監視体制にもどった
(すまなかった!その説明はあとだ! 何かあったのか!)
「説明は移動中にする!すぐに来てくれ!位置情報を送る!」
「わかった!送ってくれ!」
いつもの飄々とした結城ではない口調にただならぬ物を感じたのか賀茂は即答し電話を切った
部下に位置情報の送信を頼むと偵察に向かったビルに目を向ける
ビルの入口をじっと見ながら言う「入って何分だ」 すぐ横にいる部下が腕時計に目をやり答える「一班が1階で待機、2班が非常階段で3階に到着後一班が各フロア通路を確認しながら建物内階段で3階へ向かい合流後に各店舗内を順にドップラーセンサーで調べていくと連絡があり3分経過です、もう合流する頃だと思います」
結城はうなずいたあと頭上を仰ぐと再びビルの入口へと目を向ける
空には変わらず鴉が円を描いてビルの真上を旋回していた
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