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結城に何度掛けても繋がらず苛ついた口調でハンドルを握る部下に言う
「まだつかないのか!」
「もう信号2つほどで封鎖エリアです!」
信号が赤色に点灯している、クラクションを鳴らしっぱなしにしながら交差点に入りタイヤを鳴らしながらハンドルを切る、急ブレーキを踏む音やクラクションを無視してアクセルを踏み続ける
「警察の封鎖です、止めますか?」前を見たまま聞く
封鎖エリアへ入っていく道路は赤いコーンが並べられ制服の警察官が数人立ちはだかるよう立っていた
「そのまま行け」賀茂はそう言うと助手席のウィンドゥを下ろして身を乗り出すようにして腕を高く上げて身分証を掲げた
クラクションを断続的に鳴らす、アクセルは緩めない
二人の警官が両手を大きく振って行く手を阻むように道を塞いだがスピードを落とす気配がないと気づき慌てて道路脇へと飛び退く、転がりながらギリギリかわした警官に慌てて他の警官が駆け寄るのがミラーに映る
「怪我してなきゃいいですけどね」ぶっきらぼうに言う部下
何も答えずに前を見たままの賀茂、タイヤを軋ませて右へ左へと曲がる車
「着きます」言いながらハンドルを切る
角を曲がると特務課の車両が見えた、小銃を構えた隊員も見える
黒いバンの真後ろに勢いよく止めると同時に助手席のドアを開き賀茂が降り立つ
バンに駆け寄る賀茂、開いたままのスライドドアの中に向か言う
「結城はどこだ!」
無線の操作盤に向かう隊員が賀茂の顔を確認しレシーバーを握る
「公安が着きました!」
そしてヘッドセットを賀茂に向かい差し出しながら言う
「隊長はビル内へ入ったところです!繋ぎます!」
手渡されたヘッドセットを急いでつけてマイクを口元に持っていく
「賀茂だ!到着した!現況を教えてくれ!」
イヤフォンから結城の声がした
(遅かったな、もう突入する準備に入ったところだ、ビル内に入ったところなんで話してる時間がない 経過はそこにいる部下に聞いてくれ)
車内にいる結城の部下に目を向ける
無線係の向かい側の壁にあるモニターに向かっていた隊員が振り向く
「自分が説明します、どうぞこちらへ」
防衛省国防特務課の隊員たちは階級章などを着けていないために指揮官、副官、各担当など見た目では判別がつかない 促されてモニターの見える位置に座る賀茂
モニターには詳細なGPSの地図が映し出され隊員たちの位置を示す表示が出ていた
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