影法師

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正面玄関前より北館通用門まで走った 守衛室窓口から守衛を呼ぶ 「早く開けてくれ!侵入者だ」 慌てて鍵を開ける守衛 「侵入ですか!」 「1階市民課だ! 警察に電話して下さい!」 市民課へ急ぎながらトランシバーで呼びかける 「いま守衛室から市民課に向かってる、まだいるのか?」 腰のベルトにつけた特殊警棒を手に持った 〈まだいます〉 トランシーバーより返事が来た 「挟み撃ちにするぞ!警察もすぐに来る!」 守衛室からまっすぐ向かえば逆側から市民課に入ることになる 階段側からと挟みうちにするつもりだ、逃がさないようにだけして 警察の到着を待てばいい、警察署から5分の距離だ 市民課へ入る入り口についた 「いま反対側に着いた こちらからも確認する そのまま待て」 小声で言うと壁からそっと中を覗き見る 市民課のデスクが並ぶ中、真ん中あたりが ボゥっと明るくなっている パソコンのモニターだろう 姿を確認しようとしたが大きな鉢で 置いてある観葉植物が邪魔で見えない 室内の電気をつける操作パネルを目で確認しレシーバーを握った 「だめだ こっちからは見えない 電気をつけるからついたら入れ」 「了解です」 窓の外に赤色回転灯の明かりが見えた、警察の到着だろう サイレンは鳴らさずに来たようだ、だがパトカーの明かりが見えれば 逃げ出すだろう、今しかないと、操作パネルのスイッチを全てONにした 中に駆け込むように入る 「そこで何してる!動くな!」 逆側からも特殊警棒を握って飛び込んでくるのが見えた 市民課の中を見渡す・・・誰もいない・・・ 先ほど明るかったデスクのあたりに慎重に足を運ぶ 伏せて隠れているのかもしれない 「隠れたかもだ!デスクの下など注意しろ!」 二人で順番にデスクの間を覗きながら探す 後ろから複数の足音が聞こえた 振り向くと、警官が4名走りこんできた 「侵入者は!」 「隠れたようです いま探してます!」 「二人は、出入り口を押さえておいてくれ!」 警官に言われ、それぞれ階段と守衛室へ向かう通路を塞ぐように立つ 室内を4人の警官が慎重に探す 「どこにもいないぞ・・」 警官がこちらを向いて言う 「姿を確認したんですか?」 少し疑いのこもった言い方できく 若い方の警備員が答える 「後ろ姿ですが確かにいました!そこのデスクでパソコンを  いじってたんです!」
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