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「私も中へ行く」賀茂は立ち上がり車外へと出ようとした
銃声、小銃の連射音が響き渡る 「なんだ!?」車内の隊員たちも騒然となる
ビルの周りを包囲して待機していた隊員たちが一斉に銃を構える
「報告せよ!」車内の無線係がレシーバーに叫んでいる、応答はない
銃撃はまだ続いていた
「何が起きた!」車外へ出かけていた賀茂が中を覗き言う
「わかりません!応答がありません!」
銃撃がやんだ、静まるビルからは何の物音もしない
「各班!状況報告を!」
(何があった!)結城の声が聞こえた 「隊長です!」賀茂に告げる
結城の指示にビル前に待機していた隊員が返事をしている
「代われ!」 隊員の持つレシーバーを強引に取る
レシバーのボタンを押しかけた時、激しい土砂降りが降ってきたような音がした
「うわぁあ!!」外からいくつもの悲鳴が聞こえた
驚き、スライドドアから外に顔を出す賀茂
「なんだこれは!!」
鴉が大きな塊となって急降下して隊員たちに襲いかかって来ていた
上空より一直線に急降下しそのまま隊員たちに体当たりをしている
何人もの隊員が首などに鴉が突き刺さり倒れている 致命傷を逃れた者たちも群がる鴉を払いのけるようにして逃げまどっている
賀茂のいる車に向けても数十羽の鴉が上空より開いたスライドドアめがけて突進してきた
気が付き急いでドアを閉じると閉じたドアにそのまま激突してきている
次々と防弾のウィンドウに突っ込んでは潰れるようにして下に落ちる、ウィンドウはすぐに鴉の血で真っ赤に染まった
「外の奴らを建物内に退避させろ!」叫ぶ賀茂
「退避!!退避!!近くの建物内に退避せよ!」無線係が慌ててレシーバーに叫ぶ
大きな黒い羽の大群に視界を阻まれて外の状況がまるで見えない
「隊長!!鴉の大群が襲ってきました!外は危険です!ビル内から出ないで下さい!!」
「司令車より連絡!全隊員、上空より飛来する鴉に注意し、建物内に退避せよ!」
無線係は立て続けにレシーバーにまくしたてている
「こ、これはいったい、、、」
真っ赤に染まったウィンドウの向こう側の光景を目を見開いたまま見つめる賀茂
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