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踏ん張っていた男の体ががくんと沈んだ、男がぎょっとした顔で下を見た
「く、くそ!」
穴のような黒い闇が広がり男の足を捕らえたのだった、神山の足も落ちそうな位置にある
それを見て神山を突き飛ばすようにして転がる圭、それを見て叫ぶ男
「だめだ!お前らも下がれ!!」脹脛まで沈んだ足を持ち上げようとするが抜けない
残った二人の隊員はどうしていいかわからず躊躇している
「寄るな!危険だ!離れてろ!」一人目はもう完全に沈み込んでしまった
「くそー!!」男は腰のホルスターより銃を抜いて弾倉が空になるまで足元の闇に向けて撃ったが 虚しく体はどんどん沈み込んでいくだけだった
「つかまれ!」上着を脱いで男に掴ませる神山腿のあたりまで沈み込んだ男がその端を掴む 「引っ張れ!」全員で引く
「借りるわよ!!」圭は隊員たちが放り出した小銃のストラップを外して縛ってつないだ、そして周りを見渡してすぐ横にある雨樋の留め具にその端を結ぶと反対側の端についているフックを小銃のフックに引っ掛けた
「これに捕まってて!」小銃を投げた、男は両手で受け取り小銃を脇に挟み込みストラップを腕に巻き付けるようにして掴んだ
ピンと張ったストラップを捕まえて踏ん張るようにして引く二人の隊員
神山と圭もその後ろに回りストラップに手をかけた時に背後で愛美が叫んだ
「神山さん!!」叫ぶ愛美の声に振り返る
神山達とみちる、愛美の間の地面にも黒い闇が現れ急激に愛美達の方向へ広がりだした
「逃げろ!逃げるんだ!」地面を見ながら後ずさる愛美とみちる
「すまん!」ストラップを掴み踏ん張る二人に言う
「いい!行け!」答える二人の隊員
地面に広がる闇は路地の幅いっぱいに広がっていた、愛美たちのところへ行くには飛び越えるしかない、が、すでに5メートル近く広がっていた
「そこ!どいて!!」背後から声、慌てて振り向くと圭が助走をつけて走ってきている
横に飛び退く神山
口から声が出る前に圭の足が地面から離れていた、、
勢いよく跳躍する圭がスローモーションのように見える、固唾を飲んで見守る神山
ギリギリで着地しそのまま転がる圭
ふぅ、、と息を吐きホッと胸をなでおろす神山
「痛ったーい!膝すりむけたぁあ!!」膝を押さえてジタバタともがいている
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