影法師

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「電気をつける直前まで見えてました!」 主任の方を見て言う 「おたくは?見た?」 質問をしてきた警官は完全に疑っているようだ 「いえ 私は守衛室側からなんですがそこの鉢が邪魔で姿は  確認してません」 「ご苦労様」 振り向くと2名の警官と守衛が入ってきた 「いないのか?」 入ってきた年配の警官が聞いた 「明かりをつける直前までいたということなんですが どこを  探しても見つかりません」 「警報装置は?」 守衛に向き直り、質問をした 「はい、警備の方が来るまで作動してましたが警報は鳴っていません」 少し考えこむ 「人がいなくなるまで館内に潜んでいたのかもしれん」 ここに1名残して、進入路の形跡がないかと各フロアを調べてみろ」 「見たというのは?」 若い警備員がてを上げる 「自分です」 「あんたは私と来てくれ 守衛室で防犯カメラの映像を確認しよう」 「おい!署に現況を連絡しといてくれ!」 「分かりました」 若い警官が通路を走っていった、パトカーの無線で連絡をする のであろう 戸惑いの表情の若い警備員、気の抜けた様子で館内の見回りに 向かう若い警官・・・ 「ちょっと待てよ・・」 年配の警官がパソコンのモニターを覗き込む 振り向いて、残った警官に言う 「お前はここでこのデスク見てろ 触るなよ 鑑識呼んで調べて  もらう」 「すいません3号車ですけど市役所以降の巡回を他に  回してください 市役所でトラブル発生です警察も来てますんで  時間かかりそうです」 警備主任が携帯で会社に連絡をしている 深夜の市役所、全フロアの電気が点き、玄関前には数台の パトカーが赤色灯をきらめかせている 市役所の前を通る車が何事かと、覗きこむようにスピードを 落として通過していく・・・ 守衛室・・・ 防犯カメラのモニターで録画映像を見る、6台のモニターがある 夜間監視時は自動でカメラ映像が30秒ごとに切り替わり 市役所内に設置されているカメラの映像を映し出す 「市民課オフィスと周辺カメラを見せて下さい 警備の方が  来た時間からでいいです」 「はい、ただいま・・」 守衛が防犯録画装置を操作する 「時間通りに警備の方が来た時間です」 モニターに映し出された映像、オフィス内は真っ暗だ 「モニターのついていたデスクはこの辺りかな」 ボールペンで指す 「そうですね そのへんですね・・」
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