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静まり返ったビル内、廊下を歩く足音、近づいている
覚悟を決めた、室内に足を踏み入れたら躊躇せず撃つと、、
みちるを連れ去られでもしたら取り返しはつかない
ドアの前であろう位置で足音が止まった
「最後の警告だ!室内に一歩でも入れば射殺する!」
返事はない、
安全装置が外れているのを確認し銃口を入り口に向けて低く構える
トリガーに指をかけゆっくりと息を吐いた
入り口を塞ぐように倒してあったキャビネットがいきなり吹き飛んだ
キャビネットは宙を舞うようにして壁に激突して落ちた
(ばかな、かなりの重量だったはず)
(やはり普通の人間ではないのか)
神山から化け物の話しは聞いたが内心半信半疑だった
だが重いキャビネットをダンボールの空箱のように吹き飛ばすなど人間業ではない
自分が対峙するものが普通ではないものなんだと今更ながら思い知らされる
動きはない、ドアの陰にいるのか姿は見えない
銃のグリップを握る手が汗ばんでるのに気付くが手を離して拭う訳にはいかない
一度手を開き強く握り直しサイドのレバーをオートに切り替えた
右は壁、左は一面の大きな窓だ、室内に入ってくるには正面にあるドアしかない
侵入さえされなければ何とかなる
入り口の対角線から正面にドアを見据えている、簡単には入ってこれないはずだ
視界の端、右側で何かが動いた
(え?なに?!)慌てて右へと銃を向ける、壁に影
(逆か!)すぐさま左に向き直してトリガーを絞る
(いない!)何もいなかった、連射された弾丸は窓を粉砕しただけだった
慌ててもう一度右に銃を向けた
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