影法師

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ビル内に入った、廊下がまっすぐ正面に伸びているが 人の気配はなかった 廊下の奥に二階へと続く階段が見える 階段の下まで来ると前を行く隊員が足を止める 階上へ銃を向けたまま言う 「右側にレバーがある 上からセイフティ、三連射、オートだ、使えるか?」 「ああ、何とかな」 警察で小銃の使い方など学びはしないが以前に岸が銃器を持ってきた時に サブマシンガンなどもあり使い方だけは教えてもらっていたのだ 「俺が前を行く、後ろを頼む」 振り向かずにそう言うと前を見据えたまま足早に階段を上がる 二階フロアまで二、三段で足を止めそっと頭だけだして伺う 「クリア」前を行く男がそう小さくつぶやいて三階への登り口まで足を進める 続く神山 先程降ってきたガラスは三階の窓からだった 見上げるようにして階上に銃口を向けて静かに足を運ぶ、神山は後ろに続きながら銃口は階下に向けて後方を警戒しながら進んだ 三階まであと数段、顔をそっと出して様子をうかがうと正面と右側へ L字型に廊下がある 先程の窓の部屋は右側へと続く廊下の先のはずだった 右へと進む、突き当りの床にガラスの破片が飛び散っているのが見えた 「あそこだ」 壁に沿うようにして足を運ぶ 銃声が聞こえた、拳銃の発射音だった 一瞬足を止めて膝立ちで銃を構える 前方には何も見えない すぐに立ち上がり音を立てないように気をつけながらも足早に進む ガラスの砕けたドアの横まできた  「左右に」男は小声で言うと一瞬だけ中を見て身を翻すようにドアの反対側に 移った  神山の方に顔を向ける、その目は大きく見開かれている 何かを見たようだ 神山に中を見ろと顎で促す そっと中を除く神山 キャビネットやデスクが倒れて散乱している、その奥にドアのない 部屋の入口がある、、2つの影 一つは黒い《なにか》だった、人の形をしているが、、、人ではない まるで影が立ち上がったような感じだった その横に立つモノ 天井に頭がつくほどの巨体、、その頭からは角が突き出ている 両方ともこちらに背を向けている  ドアの反対側にいる男を見る 小さく頷く 体を低くしてそっと室内に滑り込むように入る 左右に広がれと目で言っている 倒れているデスクに隠れるようにしながら右に進む神山 隊員は左の壁に沿って進み倒れたキャビネットを遮蔽物にして身を隠している デスクの脇から伺い見る、 怪物の脇から拳銃を構えて後ずさる圭の姿が見えた
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