影法師

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圭の背後から歩み出てきたみちるが見えた 怪物の前に進み出ようとしているのを圭と愛美が止めている あの巨躯の怪物が手を伸ばせば届きそうな距離だ 圭たち三人を怪物から引き離す余裕はないだろう デスクに肘を付き銃を構えレバーをオートまで下げて叫ぶ「伏せろ!!」 神山を確認した圭が体を反転させ みちると愛美を抱かえるようにして後ろに飛び退く (よし!射線上から外れた!!) 間髪入れずにトリガーを絞る 怪物と影が振り返るのとほぼ同時だった 射線上から外れたといえ怪物の体を貫通した弾が思わぬ方向へ飛んでいくこともある 圭たちに当たらないとも限らない、銃口を少し上に向けて 巨躯の怪物の頭を狙い1マガジン撃ち込んだ 小銃の弾は撃ちきった、足元に小銃を捨てて拳銃を抜いて構えながら 怪物たちを目が追う (影が消えた!?)怪物の横に立っていた影は視界から消えた 巨躯の怪物の頭は右半分吹き飛んでいる 振り返った姿勢のまま動かない (殺ったか?) 拳銃の照準を怪物に向けたまま消えた影を探し回りを見渡す そして気づく、いま撃ったのは自分だけだった 自衛隊員の方を見る キャビネットの陰に身を潜めていた 神山の位置からは見えるが怪物の立つ方向からは死角になっているだろう 神山が視線を向けたことに気づき右手に持っているものを見せ 左手で人差し指を唇に当てる 一人だと思わせておけということだろう、反撃を受けた際に 無防備なサイドや後ろから攻撃をするためであろう (やはり戦闘のプロだな、、、) そう思った 視界の隅に動くものを感じ目を向けた 視界に広がるように迫りくるものを捉える デスクが飛んできていた かろうじて転がりかわす そのまま転がりながら中腰になり怪物の方向を見る 目を疑う 頭部の上半分が吹き飛んでいるにもかかわらず 片方だけになった目で神山を睨みつけて 神山の方に向かい来る、転がっているデスクを次々と 投げつけながら向かってくる  連続で飛んでくるデスクや棚に 倒れたデスクを遮蔽物にして伏せるだけで精一杯だった 頭を上げられない、床に身を伏せながらデスクの下の隙間から怪物の位置を確かめてその足首に狙いをつけた 怪物が自衛隊員の潜むキャビネット横を通り過ぎる 何か硬いものが転がる音 「伏せろ!!」 叫ぶ自衛隊員 さっき自衛隊の男の右手に握られていたものを思い出しデスク引き倒して 遮蔽物にして床に伏せる 怪物の足に何かが転がり当たる 気づいて足元を見る怪物 大きな爆発音、怪物の足元で手榴弾が爆発した 爆発音に続いて小銃の銃撃音が鳴り響く 射線上に入らないように身を伏せたまま転がるように移動して すばやく立ち上がり圭たちのいる方向へ走る神山
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