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ブラに手がかかった
シャン・・・シャン・・・・シャン・・
手が止まる
「おい なんの音だ?」
三人が周りを見渡す・・
「工事の人間はもう誰も居ないはずだぜ」
シャン・・・シャン・・・
徐々に大きくなる音
「なんか近づいてくるぞ・・」
「俺が見てくる ちゃんと押さえとけよ」
ブラから手を離して立ち上がるとドアに向かった
「止まった・・・」
音は鳴り止んだ
「外見てくる」
ドアを開けた・・・ドアの前に男が立っていた
驚いて後ろに飛び退く
「わ! びっくりした!」
「何だ お前は!」
目の前に無言で立つ男・・
ぼろぼろの袈裟を来て笠をかぶっている、左手には錫杖
右手には縁の欠けた椀を持っている
「は? 坊主?」
「なんだよ驚かせやがって! それになんだそのなりは?」
「今時 托鉢かよ! ここには何もねーよ!帰んな!」
無言で部屋に入ってくる
後ずさリながら言う
「なんだよ!お前は! 出て行けよ!」
愛美の腕を押さえていた二人も手を離して立ち上がる
急いで体を起こし、はだけた胸元を隠すように押さえながら部屋の
隅まで後ずさる愛美
袈裟を着た男はドアの前で立っている
「なんだお前!聞こえねーのか!出てけって言ってんだろ!」
三人が袈裟の男を取り囲む
シャン!
錫杖を激しく振った
袈裟の男の足元から急激に暗くなっていく
「え!な、なんだ!」
闇が広がり暗闇に包まれた
「何だ!何にも見えねーぞ!なんなんだよこれ!」
パニックを起こす三人
シャン!
ぶつぶつと何かを唱えながらもう一度錫杖を激しく振った
闇が消えた・・・そして三人の男たちも姿を消していた
部屋の隅でうずくまり震える愛美
「帰りなさい・・・」
一言いうと袈裟の男はドアを出て行った
部屋に一人取り残された愛美
「な、なに?なにが」
我に返ったように立ち上がり部屋を飛び出し、周りを急いで見渡した
袈裟の男の姿はどこにもなかった
シャン・・・・シャン・・・
遠くから聞こえるような音、すぐに聞こえなくなった
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