影法師

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(おかしい・・ミイラの件の資料がなかった・・) (どういうことなんだ?) (それに署長のあの言葉・・・) 自分がここに来た理由を署長は感づいてるのかもしれない それに香坂はキャリアだ、この署の署長も2年だけ、その後は 本庁に戻るだろう、警察庁の上層部への階段を歩く香坂が 公安とつながっていても何ら不思議ではない 監視されている可能性もあるかもしれないと神山は思った (まさか、公安の手が・・・) この署の管轄で起きた橋の下のミイラの件を教えてくれたのは 鑑識の松元だった あの時、旧温泉街で松元に手助けを求める電話をした 拳銃弾では通用しないモノがいるとも・・ 復職したとき松元から全て話せと言われ、芦屋、高野、りえの ことだけ伏せて話しをした、 もっとも松元も事件の内容には興味はなく鑑識として説明の 付かない殺人を誰がどのように、とそこが問題だったので、 彼らのことについは言及をしなかった 話しを聞いた松元は言った 「あんたの言うことなら信じるよ、あの死体の有様も納得がいった  でもそりゃあ報告書にはかけんわな」 そう言って笑っていたが数日後 「俺の同期のやつのいる署でおかしなものが見つかったらしい  俺のとこに見解を求める相談の電話があった」 「橋の下で見つかったミイラ化した死体、状態から死後4年から5年が  経過していると思われる、ポケットにあった財布から運転免許証が  出てきてミイラが誰なのか直ぐに判明した 歯型からも本人に間違い  ないと松元の同期の鑑識係が確認したのだが その運転免許証・・・  3ヶ月前に更新されていた、免許証の写真もそのときに当然撮られて  いて間違いなく本人が更新手続きを行っている・・説明がつかない」 「そう言って電話があったんだが、不可解な死体という点では  今回の事件と似たところもある、また同じようなことが起きなきゃ  いいが・・」 そう言っていたのだ 現住所は安住町の古い2階建てアパートだった 岸の言っていた窃盗団のメンバーだろうと思った  そう思ったのは松元から見せられた1枚の写真だった 「古い桐の縦長の木箱が傍らに落ちていた、免許証のコピーなどは  何故か資料が上に上がって見ることもできなくなったようだが  木箱の写真だけは残ってたらしい」
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