第1章

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そういえば七海も遅いなと思いながら教室に入ろうとするとA組の方が急に賑やかになってきた。 その中心には… 高村くん 遠くからでも彼の整った容姿とスタイルの良さがわかる。 やっと会えた 遠くからだからはっきりしない。目を皿にして凝らしていると、数秒歩を止めこちらに目を向けて視線が合った気がした。 女子がキャーキャー騒いで人垣を作っていて、その中に遠目だけど七海の姿も確認できた。 高村くんはそのまま教室に入っていき、溜め息のようなどよめきが聞こえた。 彼が学校に来たことに安堵し、顔が見れただけで満足して教室に戻った。 席に着くとチャイムが鳴り始め、数名の女子が慌てて教室に入って席に着いた。その中に七海もいた。 彼女たちは生徒玄関の方で高村くんを待っていたんだろう。 私もみんなと一緒に高村くんを近くで見たかった。 それをしたら高村くんがきっと困るだろうと思うとそれができない。 土曜日には彼を独り占めできるのだから我慢だ。 後三日の辛抱だけど、ずっと会えなかった時間に積もった思いが胸を何度も締め付けていた。
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