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「ここが西の国のお城かい、マルート兄さん?」
「タルート、そうみたいだな」
地底族の兄弟戦士が、西の国のお城の前に立ち、言葉を交わした。
兄のマルートは、小柄な魔法使い。
弟のタルートは、巨体の剣士。
全く容姿が違う二人の兄弟の共通点は、地底族の屈強の戦士であること、
二人とも残酷極まりないこと、
そして肌の色がやたらと黒いこと。
二人はこの特徴を元に、地底族の間では、ブラック兄弟と呼ばれていた。
「マルート兄さん、早く西の国のやつらを殺そうよ。
オレ、うずうずして、たまらないよ」
巨体の弟、タルートが、少し甘えた声でマルートに言った。
「タルート、今回のオレたちの目的は、残念ながら、人間を殺すことじゃないさ」
マルートはそう言うと、小さな指で、西の国のお城を指差した。
「今回のオレたちの目的は、西の国のお宝を盗むことさ」
「マルート兄さん。
それって、光の剣のことだよね」
「タルート、その通りだ。
この世界には、伝説の剣が三本ある。
一つは、天空族が持っている天空の剣。
もう一つが、我々、地底族が持っている暗黒の剣。
そして最後に、人間が持っている光の剣。
我らのボス、ナバール様は人間が持つ光の剣を欲しがっている」
「でもマルート兄さん、ナバール様は、どうして光の剣を欲しがるんだろう?」
マルートはタルートのその言葉にあきれて言った。
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