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「いや~近頃寒いですよねぇ。もうすっかり冬本番って感じで」
「あはは、ですよね」
「家にこたつがあるんですけどね、もうあったかくて外出れないですよ」
「ええ、ええ。わかります。僕もそんな感じです」
「冬将軍さんも毎年ご苦労様ですよね」
そう言ってキラキラと前歯を輝かせる山本さん。
あれ?
なんか、普通に会話できてない?
なんて、…なんて常識的かつ面白みのな…ごほん、当たり障りのない世間話なんだ。
俺は盛大な勘違いをしていたのかもしれない。
何故だか初見で彼を目の前にして半端なく身構えていたが…もしやこの爽やか番長、ちょっと爽やかが過ぎるだけで普通の人なのか。なんだそうか…普通に話の通じる系の人か。俺はほっと息を緩めた。
「あ、お二人って冬将軍さんに会ったことあります?僕、何回かお会いしてるんですけどね」
「へ?」
「冬になったら家の近くでたまに会うんですよ。いつも挨拶してくれるんです」
あはははっと爽やかに笑う山本さん。俺もつられて口端をかろうじて吊り上げて見せた。
…ホワッツ?彼は何を言っているんだ?
「赤い服に白い髭のね、おじいさんなんですけど。でもなんて言ってるのかいっつもわからなくて」
それナンタラクロースじゃない!?サンタラクロース的なヤツじゃない!?え何!?何の話ししてんのマジで!
「ダブノー…ビーチェ!みたいな、なんて言っておられるのかなって、いつも尋ねるんですけど、答えてくれなくて」
「へ、へぇー」
正直、胃はもうすでに悲鳴をあげ始めている。キャベジン飲まなきゃ。
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