2.初めてのことはわりとなんだってキツイ

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「いや~近頃寒いですよねぇ。もうすっかり冬本番って感じで」 「あはは、ですよね」 「家にこたつがあるんですけどね、もうあったかくて外出れないですよ」 「ええ、ええ。わかります。僕もそんな感じです」 「冬将軍さんも毎年ご苦労様ですよね」 そう言ってキラキラと前歯を輝かせる山本さん。 あれ? なんか、普通に会話できてない? なんて、…なんて常識的かつ面白みのな…ごほん、当たり障りのない世間話なんだ。 俺は盛大な勘違いをしていたのかもしれない。 何故だか初見で彼を目の前にして半端なく身構えていたが…もしやこの爽やか番長、ちょっと爽やかが過ぎるだけで普通の人なのか。なんだそうか…普通に話の通じる系の人か。俺はほっと息を緩めた。 「あ、お二人って冬将軍さんに会ったことあります?僕、何回かお会いしてるんですけどね」 「へ?」 「冬になったら家の近くでたまに会うんですよ。いつも挨拶してくれるんです」 あはははっと爽やかに笑う山本さん。俺もつられて口端をかろうじて吊り上げて見せた。 …ホワッツ?彼は何を言っているんだ? 「赤い服に白い髭のね、おじいさんなんですけど。でもなんて言ってるのかいっつもわからなくて」 それナンタラクロースじゃない!?サンタラクロース的なヤツじゃない!?え何!?何の話ししてんのマジで! 「ダブノー…ビーチェ!みたいな、なんて言っておられるのかなって、いつも尋ねるんですけど、答えてくれなくて」 「へ、へぇー」 正直、胃はもうすでに悲鳴をあげ始めている。キャベジン飲まなきゃ。
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