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隣から恨みがましい視線を送れば、早瀬さんがちょっとたじろいだ。
「あんたまで千の風使いだったとは…」
「あ?何を言ってるんだお前は」
なんで俺が変なこと言ってるみたいな空気になんだよ!
「あの、冬将軍さんなんておっしゃってたんですかねぇ!」
山本さんがキラキラと期待に満ちた瞳を早瀬さんに向けた。それを真っ向から受けて、早瀬さんはうっと言葉に詰まった。
「…ロ、ロシア語で、『お久しぶりです』じゃ、ないかと…」
尻すぼみになりながらも、彼はなんとか答えきった。その間決して目は合わせようとはしなかったけれど。その答えに山本さんは目を丸くした。
「へぇ~なるほどなぁ~!早瀬さん、超物知りですねっ」
キラキラッ効果音がつきそうな勢いで、山本さんは相好を崩した。
キラキラ大放出だ。やめて、もうそのキラキラがなかなかの鋭さをもってして俺に刺さりそうだから。そんなんもう致命傷だから。
もうさ、ここまできたらさ、語尾キラッ☆とかにして欲しいよね、コ◯助のナリみたいな感じでさ。
「そ、そんな、ことは…」
「ちゃら恋の中でも海外の様子とかすごくリアルですよね!やっぱり行かれてたことがあるんですか?」
「ま、まあ…」
おお。
珍妙な皮切りではあったが、会話が軌道に乗ってきたぞ。
二人の様子を伺いつつ、俺も加勢する。
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