2.初めてのことはわりとなんだってキツイ

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その時、俺の会社用の携帯が鳴った。 ちなみに着信音はカノンに変えさせてもらっている。…別にエンダアァァがトラウマになっているわけではないぞ、断じて。 表示されている相手方の名前を見て、無意識にため息が出た。 「あ、すみません」 「いいですよ、出てください」 山本さんの純度の高い爽やかスマイルに促され、俺は(しぶしぶ)電話に出た。 その間も早瀬さんは不安げな顔でこちらを見つめていた。それにまた気分が少し良くなるが、悦に入っている場合でもないので視線をそらし電話に応対する。 「はい、相良です。…はい、はい……………わかりました。すぐ行きます」 俺がそう言い終わらないうちに、電話の相手は通話を切った。それにまたため息が出る。 別の担当作家様からの呼び出しだ。ここ最近かなり頻回していて、仕事とはいえイヤにもなる。 「作家さんの呼び出しですか?」 爽やかに苦笑しつつ山本さんが問うた。 俺はそれに頷きながら、早瀬さんの方を見やる。と、彼はもうSEKAI NO OWARIみたいな絶望的な顔をして俺を見ていた。 う、うん、そんな顔されてもね、仕方ないのよ仕方ないドラゲナイ。 「…すみません、ちょっと行ってきますんで、席を外します」 早瀬さんの目が見開かれて、"この俺をこいつと二人残していくのか…?"と、盛大に訴えていたが、それには気づかないふりをしていそいそと俺は部屋を出た。
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