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呼び出された先は会社から車で数分の場所だ。
この自宅兼事務所に、俺のもう一人の担当作家先生様がいる。
「失礼しま~す、相良到着しました~…」
控えめに挨拶して中に入っていくと、あらゆる資料やらなんやらがトラップのように廊下に仕掛けられている。俺はそれを避けながら、先生のいる作業部屋までなんとかたどり着いた。…のだが。
ガンッ!ガンッ!
そんな鈍い音が聞こえてきて、部屋に入るのを躊躇った。何、この鈍器でゾンビでも殴り倒しているような音は…怖い。
それでもここで引き下がるわけにもいかず、俺はそっと戸を開けて中を覗き込んだ。
「ア゛ーーーーーッ!!ムリ!!もうムリィ!!もういっそ殺せばいいじゃない私なんてッ!!ア゛ァァァッ!!」
ヒエッ…
中には生を嘆く新種のゾンビが、自らの頭をデスクに打ち付けてもがき苦しんでいた。
いかん、めちゃくちゃ入りたくない。そっと戸を閉じてこのまま帰りたい。
「そこにいるのは誰…?」
「ひっ!スミマセン相良です!!」
見つかった!ゾンビの生体反応感知力ハンパねぇ!
「ああなんだ相良さんか…私の息の根を止めてくれる天からの使者かと思った…」
すみません、ある意味貴女の息の根を止めにかかってる諸悪の根源、出版社の使者です本当にすみません。
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