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「なんだよ~話の腰を折るなよ~」
そう編集長が不平をこぼす。幻聴が現実になった瞬間である。
俺は引きつりそうになる顔になんとか笑顔を貼りつけた。
「ちょっとおっしゃってる意味が、わかりかねると、言いますか…」
「だから、今月から川野先生とは別の作家の担当もしてもらうって話だが」
さも当然のように話の腰を戻されて、それが予想通りの内容で、俺はげんなりした。
「もう君も川野先生を担当して半年以上になるし、いいかな~って」
「…それってもう、決定事項なんですか」
「え?そうだけど?」
「えっと…以前からそのような話ってありましたっけ…?」
「いや?今初めて言ったけど」
だから!そういうのはもっと事前に知らせておいて頂けませんかねぇ…!
いっつも何事にも急なんだよここの人らは!
そんな不満が顔に出ていたのかはわからないが、編集長はんーとどこかわざとらしく考えるような素振りを見せつつ言った。
「それにホラ。君、川野先生の担当ハズレたいって突然言い出したことあったろ?あの時に君に新しく当てる作家の候補を考えたわけだ。あまりにも急だったけど、俺なりにじ~っくり考えたんだよ?君のために」
う。
「まぁ結局元サヤってことになったから?無駄に終わったワケだけど?あーあ~俺の貴重な時間を使って考えたんだがなぁ」
うう。
ソレを持ち出されると、もう何も言い返せない。
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