2.初めてのことはわりとなんだってキツイ

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「だ、大丈夫ですか香久耶先生…」 「これが大丈夫なように見える…?」 さながら貞子のように髪を振り乱しこちらを振り返る様はまんまホラーだ。やめてくれよ、俺ホラー苦手なんだよ。チビったらどうすんの。 少女漫画家、香久耶ひめ子(カグヤヒメコ)は、別冊マーガリンの人気作家の一人。代表作は山とあるが、今連載している作品『幽霊男子と一つ屋根の下』は現在アニメ放送中で、来春には映画、さらにドラマまでが決まっている超話題作だ。 …ちなみに年齢は不詳である() 「ああああわからないッ!!キャラの気持ちがわからないいぃ!!だって私幽霊になったことないもの!!それどころか死んだこともないし!!やっぱり一度死ぬしか…ッ!!」 「早まらないでください!!落ち着いて!!」 彼女は漫画を描くことに関してはまさに天才で、そのシナリオは多くの乙女ばかりか老若男女全ての胸を打つ。のだが、その性格の扱いづらさは天下一品で、かの"川野せせらぎ"と並ぶとまで称される程だ。 仕事はきちんと全て自分で完璧にこなしてくれるが…行き詰まった時の振り切れようを鎮めるのに一苦労する。 …そう、すっかり俺は問題児担当的なポジションに据えられてしまっていた。 「落ち着いてられるかッ!!何?あなたが代わりに死んでくれるんですか相良さん…ッ!!」 「先生!!Gペンを凶器のように構えないでください!!」 なんとか香久耶先生を取り押さえて落ち着かせること数分後。 「ウッウッ…もう私最低…漫画も描けないし編集さんに迷惑もかけるし…死んだ方がマシよ…」 「……」
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