第3章  第一難は平等に

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しかし、敵もさる者。 「じゃ、あっちのマンションでいいよ」と、簡単に諦めなどしない。 だが忍も、再度かぶりを振った。 「それも、無理だ。あっちはダンボールに埋まってる。 っていうか、なんでお前、ここを知ってるんだよ?」 「あぁそれなら、夕方、お前のあっちのマンション行ったら誰もいなくてさ。 それでオフィスに連絡したら、お前は、明日、引越しだって ここを教えてくれた」 確かに、彼が帰国時に忍の所に泊まるのなど珍しくもなく、 この人懐こさゆえに、彼の事務所のスタッフもすっかり彼に馴染んでいる。 だから、新しい引越し先をすんなり教えても、何も不思議ではない。 だが、それにしても、どうしてこのタイミングで――。
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