第3章  第一難は平等に

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しかし、思わず頭を抱え込みそうになる忍の事情など賢悟は知る由もなく、 やはり屈託なく「なぁ、頼むよ」と繰り返す。 「今度はさ、ひと月くらいって短いしさ。 それに、雅也ん所は、ちょっと長くは居られなくなっちゃっだろ?」 だからお前しかいなくてさ、と哀れな声を出す。 しかし忍は、出かかった溜息を飲み込むと、 それでも「とにかく」と目の前の大きな男に言った。 「今回は、こっちもあっちも無理だから、俺の所もだめだ。 だからどこか他を当たるか、ホテルにでも行け」 しかし、きっぱりと断ったにも関わらず、 目の前の髭面には懐っこい笑みが広がる。 「それなら大丈夫。 俺、寝袋あるし、何もない所で寝るの慣れっこだから。 それにさ、どうせ明日、越してくるんだろ? だったら俺、こっちに居れば動かなくていいじゃん」
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