第3章  第一難は平等に

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賢悟という男は、この独特の人懐っこさと気遣いで 大抵の場合、あっという間に周囲を懐かせてしまう。 そして、見た目のいかつさに反して あれで、なかなか面倒見もよく、料理なども器用にこなす。 そんなところが、恐らく彼の最大の魅力と人間力であり、 だからこそ言葉や文化の壁もなく、世界中を被写体にすることが 出来ているのだと思う。 そして忍もまた、そういう彼だからこそ心を許し、 多少のわがままも、つい付き合ってしまう。 そんな男の突然の訪問で、出だしこそ予定外になったものの 引越しは、つつがなく進み、 予定より早い時間に、忍は、彼らを正面玄関から見送っていた。
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