第3章  第一難は平等に

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~ * ~ 週末が終わり、やってきた新たな週は嵐の予感と共に始まった。 先週、半ば過ぎ、太平洋の南沖に発生した台風が 週明けを目前に、動きが怪しくなってきたのである。 こうなると那々は、お天気お姉さんの天気予報は当てにしない。 もちろん、どの予報もお天気お姉さんが予想しているわけではなく、 専門家の原稿を読んでいるに過ぎないことは分かっている。 しかし、嵐だの、雪だのと、 事、都市機能が、すこぶる弱い天候を目前にした時は、 天気図もなしに甘ったるい声で伝えられる予報は どうにも緊迫感にも信憑性にも欠いて聞こえる。 だから週明けのこの朝、那々は、いつもの朝番組ではなく、 チャンネルを国営放送に合わせた。
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