第3章  第一難は平等に

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案の定、天気図の上には、くっきりと台風が顔を現している。 しかも、更に続けられた週間予報では、 なんとなくその進行方向も怪しげになってくる。 お願いだから、来るなら週末にしてよね。 那々の唇から、ちょっと重い吐息が零れでた。 たしかに、地下鉄の駅からオフィスまでは地下続きだが、 このアパートから最寄り駅までは、徒歩で10分弱。 嵐とタイミングが合ってしまえば、濡れ鼠を免れる距離では到底ない。 おまけに、それが通勤時と重なったとなれば、交通網の乱れは必至。 それどころか、迂回した乗客によって、どこもかしこもが混乱の渦になる。
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