第3章  第一難は平等に

23/29
前へ
/37ページ
次へ
どうしよう……。 だが上司たちは、こんな彼女の様子を上手く勘違いしてくれたようだ。 「あぁ、売れっ子ったって 中身は、そんな緊張するようなヤツじゃないから」 自分の名刺すら渡すことも忘れて突っ立っている那々に、 立花が、ちょっとフォローを入れてくる。 そしてなんと「お前が変な紹介するからだろう」と 突っ込んだホモ男さんからまで、先に名刺を渡されるというお気遣いぶり。 だが、さすがにシックな名刺を目の前に差し出され、 那々の中で社会人の顔が我を取り戻した。 「す、すみません。中谷と申します」 慌てて自分の名刺を取り出そうと、両手の中の書類やメモパッドを あたふたと探る。
/37ページ

最初のコメントを投稿しよう!

13人が本棚に入れています
本棚に追加