第3章  第一難は平等に

27/29
前へ
/37ページ
次へ
立花さん奥さんいるし、去年はお子さんだって……。 いや、でも人間は変化する生き物だっていうし……。 しかし、そんな事を頭の中で巡らせ、上司の顔を盗み見たりしている内に 彼ら二人の間で会話は進んでいたらしい。 「テスティングシートある?」 不意に言われて、那々はハッと我に返った。 「はい」 封筒に入れてきた細い紙を差し出すと、 それに手を伸ばしてきた朝比奈が、するりと鼻先にシートを滑らせる。 しかし、「どうだ?」という立花に、朝比奈はちょっと首を傾げた。 「これが、ユニセックスなの?」 「へぇ、お前もそう思うのかぁ」 どういう意味だ?  不思議そうな顔になった朝比奈に、立花がニヤリと笑った。
/37ページ

最初のコメントを投稿しよう!

13人が本棚に入れています
本棚に追加