第3章  第一難は平等に

4/29
前へ
/37ページ
次へ
だが、夜とはいえ、誰が見るとも知れないこんな場所で、 これ以上この男の暑苦しい親愛の情を受けるのはゴメンだ。 「まったく……」 呆れ半分のため息をついた忍は、「ちょっと来い」と この嘗めるように懐く大男をもう一度引き剥がし、 一足先に正面玄関の中へと再び向かった。 しかし、ひと目の心配もない場所に引っ込んで、一息ついてハタと思う。 「お前、ここで何してるんだ?」 当然ながらの疑問。 ところが賢悟は、相も変わらず濃い髭面を人懐こくニッコリと綻ばせ、 「泊めてくれ」と屈託なく言ってくる。 だが彼の場合、これもいつものこと。
/37ページ

最初のコメントを投稿しよう!

13人が本棚に入れています
本棚に追加