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だが、夜とはいえ、誰が見るとも知れないこんな場所で、
これ以上この男の暑苦しい親愛の情を受けるのはゴメンだ。
「まったく……」
呆れ半分のため息をついた忍は、「ちょっと来い」と
この嘗めるように懐く大男をもう一度引き剥がし、
一足先に正面玄関の中へと再び向かった。
しかし、ひと目の心配もない場所に引っ込んで、一息ついてハタと思う。
「お前、ここで何してるんだ?」
当然ながらの疑問。
ところが賢悟は、相も変わらず濃い髭面を人懐こくニッコリと綻ばせ、
「泊めてくれ」と屈託なく言ってくる。
だが彼の場合、これもいつものこと。
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