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「いつもので宜しいですか?」
おしぼりと水を運んできたマスターが、静かに尋ねる。
お願いします。
上着を脱ぎながら答える忍に、
マスターは、いつものようにニッコリと微笑んだだけで
静かにカウンターの向こうに戻っていく。
上着のポケットから取り出したスマートフォンを机に置き、
腰を下ろした忍は、取り敢えず分厚い手帳を栞と一緒に開いてみた。
しかし、
イメージカラー。
あれやこれやと落書きが書かれてあるそのページで、
まともに仕事ととれる言葉は、この一言だけ。
そんな現実に、忍は淡くため息をもらし、
スマートフォンのボイスレコーダーを繰ってイヤホンをつける。
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