第4章  宿題(続き)

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まったく、笑える小心者よね。 小さくコーヒーをすすったマグを座卓に置き、皿の上のトーストをかじる。 その向かいからは、テレビ画面の中で相変わらず少し先の皆既月食の話を アナウンサーを含めた出演者たちが、妙なテンションで話している。 けど、そんなものより今は台風のほうでしょ? 普通。 近年になく大型に成長しつつ、 しかも進路方向も定まらないままでウロつく熱帯渦巻の事を 小さく突っ込んでみる。 いつ何時、どこから思いも寄らない事が突然湧き出るかも分からない。 それが世の中ってものじゃない。 だが、そう思う傍から、「やっぱり小心者だな」と自分に笑えてくる。
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