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そのオトコと目があった瞬間、私が出た行動は『しゃがむ』だった。
さらに、さらに、そのままカニ歩きで、レジカウンターの裏へ逃げた。
なんの意味もない。
「え!?」
という声と共に、そのオトコがカウンターの裏へ回り込んだ。
「ホンマか…」
自分の見ているものが信じられないといった声が上から降ってきたけど、
顔をあげる勇気もない。
ただ心の中で、相手ではなく自分に対して言った。
ホンマじゃ、ボケ…
相手がしゃがんで、私の肩をつかむ。
イヤでも目線が合う。
「…コトバがでぇへん」
「お久しぶりです…お兄さま」
『お兄さま』こと、中立哲平との10年ぶりの再会だった。
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