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お兄さまが、顔を上げた。
「なんー?」
「ああいう仕事は、土日祝日は休めないものでして」
「そら、そっちで何とかしてもらわな」
ナニソレ!
アンタと行きたくないんだよっ!
「その海老マヨ、私が頼んだヤツ!」
「な…また頼んだらヨロシイやんか」
「お兄さまは、そっちでしょ!」
「あい変わらず、食意地がはっとるなぁ」
ああ、腹立つ。
調子が出てきた。
もう食うぞ!
「これな、連絡先」
名刺を渡された。
手書きで、プライベートのアドレスも書き込まれている。
大手飲料メーカーの課長代理となっていた。
「27歳で…?」
「せやねん。俺むっちゃ優秀やねん。同期のヒガミがスッゴいわ、そら」
楽しげ。
思い出してきた。
そうだった、こういうヒトだった。
棒ギョウザにかじりついた私に、お兄さまが低い声を出した。
「もう逃がさへんぞ」
ハシが止まった。
背筋がゾクッとした。
そうだった。
こういうヒトだった。
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