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その祖母との十三年間の生活の中で、父の妹であるヒトが家に来たのは五回ぐらい。
隣町に住んでいたのに。
このヒトは玉の輿に乗ったらしく、来ると家柄や子供たちの自慢をした。
とうぜん祖母は聞いていないので、小学生の私に向かって。
だから、このヒトと父が遺産相続で怒鳴りあいのケンカを始めた時には、ビックリしてしまった。
だって金持ちなんじゃないの!?
怒鳴りあいの数日後、家の前に大きなトラックが止まり、祖父が道楽で集めていた骨董品が次々運び出された。
父はいなくて、ぼうぜんとしている私に、このヒトは言った。
「これはね、ぜんぶ父さんが私のために集めたものなの。お金だってそうよ?母は私を心配して私のために残してくれたの」
帰ってきた父は激怒し、ここで縁切りとなった。
さて、中三の私をどうするか。
父は母方の親戚に電話した。
子ども心に「それはムリでしょー」と思った。
そっちは、ますます縁がない。
「何とかオネガイシマスヨぉ」ったって、おとーさん。
犬や猫じゃないんだから。
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