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「さて、ようこそギルドへ、用件は属性査定で良かったかな?」
うざキモい顔から一変、真面目モードに入ったおっさん。
「キュイッ!」
おっさんの奇声で起きてしまった子竜が代わりに返事をしてくれた。
「これは珍しい、子竜が人に懐くなんて…まぁそれは置いといて、これに手を置いてくれ」
一瞬にしてテーブルの上に綺麗で透明な水晶が現れた。
そこに好奇心に負けた子竜がパタパタと飛んでいき、疲れて水晶の上に墜落した。
毎度毎度、好奇心に体がついていかない子竜である。
息切れから復活した子竜は水晶をペタペタと触っている、すると水晶の色が変わり虹色になった、と思ったら水晶が粉へと変わった。
………………。
「ま、まぁ、一番古い奴だったからかな?上限が低かったんだよ。それと相手が子竜とはいえ、竜な訳だし?」
おっさんは苦笑いしながら、自分に言い聞かせるように言い訳じみたことをつぶやき始めた。
次こそが新品だっとでも言いたげに取り出した水晶、中が透明ではなく、薄汚く濁っており、ところどころヒビが入ってる始末。
これを新品というあたり、流石に全員苦笑いである。
「さ、さぁ、手を置きなさい」
驚愕と怒りと悲しみを混ぜて、笑顔を足したような顔をしているおっさん。
目を見開き、額に青筋、目は赤く口元を引き締め口角を上げている。
端から見れば、爆笑を堪えてるおっさんである。うざいは抜けてもキモいはどうしても残るおっさんであった。
蓮はその顔を見て恐る恐る手を伸ばすと、触れる前にピカッと輝き、輝きが治ると新品の水晶が現れた。
「「おぉぉぉぉぉ!」」
新品になった事で四人は驚愕。
「マスターいつの間にこんな妙技を!?」
「こんなん初めて見たぞ!どんなトリック使ったんだ!?」
自分も驚いてた癖に取り繕って笑顔が溢れる。
「こんなの朝飯前だからな!さっ、これからが本番の測定だ!」
蓮は自分が元凶なのを理解している為複雑な表情をした。
気を取り直し、また手を置こうとする…が。
パアァァァァァンッ。
弾けた。
……………。
「「「あぁぁぁぁぁぁ!?」」」
一瞬の静寂の後、ギルドに絶叫が響き渡った。
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