転生者は記憶喪失

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「んで、言い訳は?」 蓮は、未だに壁に埋まってる世紀末野郎を指差し、腕でバツを作った。 あいつが悪いと言いたげである。 「だがな、手を出したら負けなんだよ」 これはもう、説明ができなきゃ悪者になると思い。 ケバ受付嬢の前で書くアピールをする。 「あぁ、書くものですね?…はい、どうぞ」 よくよく考えれば、最初からこうすれば意思疎通できたんじゃないだろうか、と、今は考え事はよそう。 最初に書いた文字。 『あいつが僕からエルを奪った』 「へぇ、文字綺麗だな…じゃなくて、エルって誰?」 小さい声でキュイキュイ鳴きながら耳に抱きついてる子竜を撫でる。 相当怖かったらしく、歯の揃ってない口で耳をハムハムしたり、相当怖かったのだろう。 「このちっこい竜はエルって言うんだな…」 仁は蓮の方で甘えるエルに手を伸ばし、人差し指でその頭を撫でると、エルはその指をペロペロと舐める。 媚びを売ることを覚えたらしい、あざとい子竜である。 「まぁ、これは向こうが悪いからな、後はギルドに任せる。って事で、ほれギルドカードだ」 渡されたものは、名前、生年月日、無、と書かれた銅のカード。 説明によると、ギルドランクによってカードの色が変わるらしい。 F、Eが鉄。 D、Cが銅。 B、Aが銀。 Sが金。 SSが水晶。 その上あるらしいが、色の指定は無いらしい。 そもそも、そのランクの人はまだ片手に数えられるくらいらしい。 蓮は自分はそこまで強くないだろうと思い、途中から話を聞いていなかった。 「粗方説明終わったし、武器屋行くぞー」 『おーーーー!』 「キュイーーッ!」 「いや、無表情で書かなくていいからな?」 そう言って蓮一行は武具屋へ向かった。
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