70人が本棚に入れています
本棚に追加
転生者と初めての戦闘
「なに!?〝造形魔法〟も知らない!?」
武具屋に向かう最中雑談をしていたら、造形魔法の話題が出た。
エルももちろん、蓮も知らない。
当然である、記憶喪失なのだから。
『造形魔法って何?』
先ほど寄った雑貨屋で、小型のホワイトボードを買ってもらいそれで会話をしていた。
「記憶喪失って本当になんも覚えてねぇんだな…まぁ、説明すると〝造形魔法〟と〝無形魔法〟がある。まず、無形魔法が、これは一般的に現象を作る魔法だと知られてる。例えば呪文を詠唱して、魔法名を発すると、水の玉とか出たりな?これは適性属性がなきゃいけないけどな。
次に造形魔法な、これは誰もが一つ必ず持ってんだ。俺の場合はロードメイク《道造形》つって、何もない所に道を作る造形魔法だ。対価は魔力と物質だけどな!後で練習だな」
何も知らない蓮からしたら、ありがたい話である。
話してるうちに武具屋に到着した蓮一行。武具屋と書いてある暖簾を潜ると様々な武器が目に入る。
デッカい剣、長い槍、コンパクトな弓、連からしたら、そんな感想しか出てこない。
武器の名前なんて知らない、の一言である。
「クゥゥゥ、クゥゥゥ」
何かの気配を察知して、寝ていたエルは鳴き始めた。
「おっとこりゃ、エルはお目が高い…いやエルからしたら最悪か」
ガハハッと豪快に笑いながら一点を指差す、そこにはショーケースに飾られた一本のなんの変哲もない無骨な剣。
「あれは常人には普通の剣に見えるけど、竜殺しの剣っつって、初めて狩ったドラゴンを剣にして、店に飾る奴が多いんだ。竜も狩れる武器を作れるんだって意思表示だよ」
なるほど、と関心していると店の奥から店主らしき人物が出てきた。
「なんだあんたか、今日はどうした?」
出てきたのは真っ赤の髪に赤い目、気の強そうな雰囲気のお姉さんであった。
「そっちのは…見ない顔だな」
「あぁ、こいつは俺の息子だ」
ドヤ顔で言われるとちょっと恥ずかしいので、控えてもらいたい蓮であった。
「はぁぁぁ!?息子だぁぁ!?あんた嫁さんもいないのにどうやって息子を産んだのさ!?」
どうやら、ぶっ飛んだ方向に思考が飛ぶお姉さんのようだ。
『初めまして、蓮といいます』
すかさず蓮は自己紹介をする。
「こいつ喋れないからこれで勘弁してくれ」
「喋れない!?」
「後、記憶喪失」
「記憶喪失!?」
最初のコメントを投稿しよう!