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転生者は意思疎通を図る
青年が目が覚めてかれこれ3日経つ。
腹が減れば森で適当に木の実を食べ、暇になれば子竜と遊ぶそんな事を繰り返していた。
だが問題がある。
青年ら喋ることができないのだ。
身振り手振りで動いてみるが、子竜は可愛らしく小首を傾げるだけ、挙句真似をし始める始末。どうしようもない。
仕方なく地面に絵を描いてみるが、青年は絵心など欠片も存在しない。
詰んだと思っても仕方ない時、青年は閃いた。
子龍に何かを言っても無駄なんじゃないか?と。
今更感が出る考えにうんうんと頷きながら、これからの事を考える。
森で過ごすのも悪くない、だが何故か胸にポッカリと穴が開いたような虚無感、だが青年にその理由が分かることはない。
「キュッキュッ!」
落ち込んでる、と思ったのか励ますようにほっぺたをペロペロと舐め出す。
青年は手のひらサイズの子龍を持ち上げ方に乗せると、決心したように口を開いた。
開いただけだった。
改めて不便と思う青年だった。
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