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転生者は記憶喪失
『クエスト〝通行の試験〟スライムの核3/3』
青年はポケットからビー玉サイズの水晶を3つ取り出し、門番に渡した。
「持ってたのかよ!」
道中で倒したボールみたいなやつ、スライムから落ちた玉を子竜が拾っていたのだ。
大層愛おしそうに体で温めたり、舐めたりしていたが奪ってポケットにしまっていたのだ。
『クエスト〝通行の試験〟をクリアしました』
「問題は喋れないだけか、いやその子竜も問題か…おし、勤務ももうすぐ交代だし、俺がここ案内してやるよ!」
門番はそう言って何処かへ言ってしまった。
困った事に仮通行証とやらを貰ってないことに気づいた青年は一瞬戸惑ったものの、そんなことどうでもいいとばかりに、子竜で遊び始めた。子竜〝と〟ではない、子竜〝で〟なのだ。
肩でグッスリ寝ていた子竜の尻尾を摘み、ブラーンとさせたり、本当に飛べないのかを検証して、軽く放り投げたり。
通行人の奇異な目も気にせず、数分。
「おーい、そんなとこでなにやってんだー!先に入ってりゃ良かったのに!」
仮通行証を渡さなかったのはどこのどいつだ、とでもいいたげな目で門番を睨む、が門番はどこ吹く風な様子。
「さて、まずはギルドで身分証発行するぞ、ついて来い」
よくよく見ると、この門番は以外と若い25.6ぐらいだろう。
茶髪の短髪で、前髪を後ろに向かって立たせている。
身長は青年より頭一個分大きい。
そんな事はさて置き、街の風景というとレンガ造りの家が多く、道もちゃんと舗装してあり、中には屋根にソーラーパネルを付けている家もある。
その中でも一際大きく、真っ白の建物がギルド。
ギルドを中心に街が広がってる感じだ。
「案内必要なかったな!まぁ一応俺は顔がきくから、ついてってやるよ!」
そう言ってギルドのドアを開ける、とそこにはガラの悪い連中が蔓延っていた。
机に突っ伏して寝る者、新人に執拗に絡んでる者、受付嬢に熱烈なアプローチをかけている男、仲間と酒飲んでばか騒ぎしてる人。
と、そこに、新人に絡んでる男が門番に話しかけてきた。
「種蒔き仁君じゃないか、今度は誰の子をつれてきとぅわぁぬぉかぬわぁ?」
無性にムカつく奴が現れた。
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