血の章

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気が付いた時、数人の同級生がベンチの上で頭から血を流して横たわっていた。 自分の拳に血がついているのを見て、目の前で起こっている状況を作り出したのが自分である事に気付いたんです。 育ての親には、誰も殴ってはいけない、生き物を傷つけてはいけないと教えられてきた。 その教えを破ったのは、その日が初めてだった。 俺は自分が怖くなり、泣き叫びながら家に帰ったのを今でも覚えています。 あっという間にその噂は広まり、同級生が俺を虐める事はなくなった。 かと言って仲良くなった訳じゃ無い。 俺の周りに人が寄りつかなくなっただけです。 剣道を始めたのは、狂気を隠し持っている自分を消したいと言う感情が働いたせいなのかもしれない。 武道が身体だけでは無く、精神も強くするって言われているのも始めた要因の一つです。
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