血の章

3/399
前へ
/399ページ
次へ
翔真は首を左右に振り、窓から見える景色に意識を集中する。 「わぁ、あれだよね!奈良公園!前に来た時って3歳の時なんだよね?楽しみだな!」 「フフ……お母さんも楽しみ!」 母親がそう言って柔らかい表情を翔真に向けた瞬間、向かいの座席に座って居る女子高生の会話が聞こえてくる。 「うわ……この殺人鬼まだ捕まってないんだ!」 一人の女子高生がスマートフォンを見つめながら声を上げる。 「単独犯じゃないんでしょ?女性だけで結成した殺人集団ちゃうの?」 「それならいいんやけどさ。かなり狂ってるみたいやん?見境なく男に齧りついて殺すなんて正気の沙汰じゃないって。 しかもさ……増えてるらしいよ?私、きっと海外からの変なウイルスだと思うんだよね」
/399ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5185人が本棚に入れています
本棚に追加