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「とりあえず、運が良かったなとだけ言っておこう」
男はそう言った後、ヘルメットを外して黒い長髪を掻き上げた。
「ありがとうございます……。あなた達が来てくれなかったら俺達……きっと死んでました」
サトルがそう言って頭を下げる中、大雅は亡霊でも見ているような顔で固まったまま言葉を発しようとしない。
「大雅さん、どうしたんですか?」
顔を覗き込んでくるサトルを押し退け、大雅はセミロングの女性の顔をジッと見つめた。
女性は大雅など視界に入らないといった様子でそっぽを向いている。
しかし、大雅は壁にもたれている女性の方にゆっくり歩みを進めながら、目に涙を浮かべて口を開いた。
「美咲……生きて……いたのか…………」
今、全てを狂わせる程の壮絶な戦いが、幕を開けようとしていた――――。
――――To Be Continued(狂鳴街―鳴の章~終の章―へ続く)
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