第壱幕

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愛しい男の温かくたくましい腕を感じて、女は安堵に似た心持ちを覚えた。いつの世も、女は弱くいつ自分の居場所を剥奪されると知れない。だが、自分にはこの人がいる。ここが、この腕の中が私の居場所であろうと安らぎを感じた。 お互いの存在を深く確かめ合った二人は、再び静かな朝を迎えようと眠りについた。月明かりに照らされた屋敷は一時の静寂に包まれるのだった。 夜空に浮かぶ満月は二人の姿に一体、何を見、何を思うのであろうか、西の空へゆっくりと歩み始めるのであった──。
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