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家に帰った僕は、すぐさま晶人に電話をしようとしたが…まずはシャワーを浴びて、擦り傷だらけの身体を手当てしたいと思った。
汗でベタベタ、体中が痛い。落ち着いて電話をしたい。
シャワーから出て、消毒液を塗る。その上から絆創膏を貼っていく。痛みは変わらないが、ベッドに血がついたりする事はない。ぐったりと寝そべって晶人とゆっくり話がしたい。
ブブブブブブブブ
携帯が震えた。
晶人?
いや、彼女から?
彼女は塾だから…電話するとしても十時くらいだな。まだ、三時間はある。
携帯電話のディスプレイを見ると…美鈴さんからだった。
誰から聞いたかは知らないが、僕がボコボコにされた事を知っていた。自分のせいだと謝る美鈴さんに、大した事無いと伝え、電話を切ろうとした。
今の僕に必要なのは…この人じゃない。
恋愛のいざこざに巻き込まれたあげく、喧嘩してボコボコになった僕の意気消沈ぶりを晶人に笑い飛ばして欲しい。
「今から…少し、会えないかしら?」
電話じゃなんだから、きちんと謝りたいらしい…まぁ、別にいいが…
少し、期待もある。
美味しい食事でも、ごちそうしてくれるかな?
殴られ損で終わるよりかは、よっぽど良い。ちょっとくらい良い思いをしたい。
わざわざ、僕の住むマンションまで来てくれた。
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