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秋の夜。
街全体を見下ろせるほどの高い丘に、星公園というものがある。
そこにはベンチと電灯数本と、空高く伸びる壊れた時計があるだけで、一見人気のなさそうな公園だが、空を見上げれば、感動で絶句するだろう。
なぜなら、空には無数の星々が気持ち悪いほど見え、天の川がはっきりと見えてしまうくらい綺麗だからだ。
星公園は、知る人ぞ知る、という感じで、
人は稀にしかこない。
天体観測をしに来る人もいたが、最近はめっきり少なくなってしまった。
俺も気まぐれで来るぐらいで、あまりここにはこない。車じゃ狭くてこれないし、自転車じゃ坂がきつくて登れない。徒歩しか交通手段がないため、長い坂道を数十分かけて登るとなると、気持ちがだるくなるのだ。
まあ、だるいとか思いながらも登ってしまうのは、あの幾万とある星がまた見たくなったからだろうと思う。
苦労あってこその感動だ。
「やっとついた…」
少し息を切らしながら登りきった坂の先には、相も変わらず神々しく輝く星々と、一つの影があった。
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