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-クロフク-
*プレリュード*
第七話(前編)
見晴らしの良い大木の木陰で、頬(ほほ)に当たる風が冷たく心地よかった。
今にも雨が降り出しそうだった曇り空が一転、今では雲の切れ間から日の光がぽつぽつと差し込んであたりを照らしている。
天気予報では、今日は曇りのち、晴れ、だったか…?
「さて、これからどうしたものか…!」
背後の大木のカゲに身を潜ませながら、みずからの気配を押し殺して今はじっと木陰越しに垣間(かいま)見える大きなお屋敷へと意識を集中する。
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